ミッシェル・デュカロワ|ロゼトーゴを生んだ異才のデザイナー
ロゼトーゴを生んだ異才のデザイナー
ミッシェル・デュカロワ
略歴とキャリア
ミッシェル・デュカロワは、1925年にフランスのリヨンで生まれました。彼の家系は代々家具製造業を営んでおり、幼い頃から家具やデザインに触れる環境で育ちました。彼はリヨン国立高等芸術学校で学び、その後、家族の事業に携わります。
1968年、彼はフランスの家具ブランド、リーン・ロゼ(ligne roset)にデザイナーとして参画します。このリーン・ロゼとの出会いが、彼のキャリアにおける転換点となりました。
デザイン哲学と特徴
デュカロワのデザイン哲学は、「人の身体を優しく受け止め、究極のリラックスを提供する」**という一貫したものでした。彼は、従来の硬くてフレームの目立つソファとは異なり、座る人が自由に身をゆだねられるような、有機的で柔らかなフォルムの家具を追求しました。
彼の作品には、以下のような特徴が見られます。
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フレームレス構造の追求: 木材や金属などの硬いフレームを極力排除し、ウレタンフォームなどの素材そのものが形を作り、座り心地を生み出す構造を好みました。
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低重心で包み込むようなデザイン: 地面に近い位置で、体が包み込まれるような安心感のあるデザインが多く見られます。
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モジュール性: 多くの作品で、パーツを組み合わせて様々な形に変化させられるモジュール構造を採用し、ユーザーの多様なニーズに応える自由度を提供しました。
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素材の革新: 新しい素材や技術を積極的に取り入れ、それらを最大限に活かしたデザインを生み出しました。
ロゼトーゴの誕生と功績
ミッシェル・デュカロワの最も代表的な作品であり、彼の名を世界に知らしめたのが、1973年に発表されたソファ**「ロゼトーゴ(Togo)」**です。
ロゼトーゴは、折り重なったウレタンフォームがそのままソファの形を成す、フレームレスで低重心の革新的なデザインでした。その「くしゃくしゃ」とした、まるで大きなクッションを積み重ねたようなルックスは、当時の家具デザインの常識を覆すものでした。
デュカロワは、このデザインを「チューブから絞り出した歯磨き粉」や「丸めて閉じたブランケット」から着想を得たと語っています。それは、人がソファに座る際に自然と体が沈み込み、リラックスする姿を表現したものでした。
ロゼトーゴは、その発表以来、半世紀近く経った現在でも、世界中で愛され続けるアイコン的な存在です。その比類ない座り心地と自由なレイアウトは、現代の多様なライフスタイルにもフィットし続けています。
ミッシェル・デュカロワの主な作品
ロゼトーゴ以外にも、デュカロワはリーン・ロゼのために数多くの名作を残しています。例えば、丸みを帯びた特徴的なデザインの「アラン(Adrin)」や、同じくウレタンフォームを多用したアームチェア「カリモ(Kalam)」なども彼のデザインです。
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ロゼトーゴ (Togo): 1973年発表。彼の最も象徴的な作品であり、リーン・ロゼのアイコン的存在です。フレームレスのウレタンフォーム構造と、体を包み込むような独特のフォルムが特徴のソファシリーズです。
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カシマ (Kashima): 1974年発表。日本の畳を思わせるような、低く広がる座面と、背もたれが自由に動くモジュール式のソファシステム。座るだけでなく、寝転がったり、様々な姿勢でくつろげる自由なスタイルを提案しました。
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ブリガンタン (Brigantin): 1980年発表。帆船の帆が風をはらんだような、ふっくらとした独特のボリューム感が特徴のソファ。体を優しく包み込むような座り心地と、その愛らしいフォルムで人気を博しました。
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アラン (Adrin): 丸みを帯びた、包み込むようなデザインが特徴のアームチェア。ロゼトーゴと同様に、快適な座り心地と柔らかな印象を与えます。
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カリモ (Kalam): 低重心でモダンなデザインのアームチェア。ウレタンフォームを多用し、座る人に寄り添うような曲線が特徴です。
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サフィン (Safin): ロゼトーゴと同時期に発表されたソファで、直線的なラインとボリューム感が特徴です。デュカロワのデザインの多様性を示す作品の一つです。
ミッシェル・デュカロワは、単に美しいデザインを生み出しただけでなく、人々の暮らしに「くつろぎ」と「自由」という新しい価値観をもたらした、まさに20世紀後半を代表する家具デザイナーの一人と言えるでしょう。
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